音楽ジャーナリスト飯尾洋一さんによるコンサートの聴きどころ <前編>


<12月25日(日)開催「身近なホールのクリスマス ピアノとチェロと音楽の歴史」>


当日配布プログラムに掲載予定の音楽ジャーナリスト飯尾洋一さんによる
曲目解説を2回に分けて、ご紹介します。

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本日の公演は、珠玉の名曲をピアノとチェロで楽しむクリスマス・コンサート
といっても、ただ名曲を並べるのではなく、古い時代から新しい時代へと
音楽の歴史をたどる構成になっているところが大きな特徴である。
耳で楽しむ、歴史をたどる旅とでもいえばいいだろうか。
一口に「クラシック音楽」といってもその幅は広い。時代ごとに流行があり、
作曲家たちはその流行に従った作品を書いてきた。作曲家にとって、なんと
いっても大切なのは、その曲が初めて演奏されたときに、客席でウケるかどうか。
初演の評判が悪ければ、次の仕事に響きかねない。その意味では、作曲家たち
の仕事は今の時代とあまり変わりない。どんな古い名曲でも、書かれた当時は
おおむね「当世流」の音楽だった。

では、どんな作品が音楽界で人気を呼んできたのか。本日の公演では、
音楽史の流れを大きく「バロック音楽」「古典派」「ロマン派」「20世紀の音楽」
の4つのカテゴリーに分けて、それぞれの時代を彩る名曲をチェロとピアノの演奏
でお届けする。箕面出身のチェリスト林はるかさんと、その妹でピアニストの
林そよかさんのおふたりのトークが、心強いガイドになってくれることだろう。



♪バロック音楽

バロック音楽とはおよそ1600年から1750年頃に書かれた音楽のこと。バッハや
ヴィヴァルディ、ヘンデルといった作曲家が代表格。「バロック」という言葉は、
「いびつな真珠」の意のポルトガル語barrocoに由来すると考えられている。
世間一般でのバロック音楽のイメージは、おそらく、優雅だったり軽やかだったり、
多分に宮廷的な雰囲気でとらえられているのではないだろうか。その感覚から
すると「いびつな真珠」とは意外な感があるかも? もっと古い時代の音楽に
比べると、やたらと装飾的で、大げさで悪趣味。最初はそんな否定的なニュアンス
があった。そう感じる人もいたというくらい、当時の基準では大胆で、感情表現に
富んでいたのが、バロック音楽なのだ。


◎バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番よりプレリュード

バロック期の最大の作曲家が、ドイツのヨハン・セバスティアン・バッハ(1685~1750)。
バッハはバロック時代の最後を締めくくる作曲家だ。バッハは6曲の無伴奏チェロ組曲
を作曲し、これらは現在ではチェロのための聖典とでもいうべき大切な作品とみなさ
れている。当時、無伴奏のチェロのみで曲を演奏することはまれ。はたしてチェロ一台
のみで、いったいどれだけ豊かで多彩な表現が可能になるのか。そんなテーマにバッハ
が果敢にチャレンジしたのがこれらの組曲である。無伴奏チェロ組曲の第1曲はプレリュ
ード(前奏曲)と題される。続く舞曲を先導する幕開けの音楽。しばしばCMなどにも使
用される人気曲だ。


◎バッハ:主よ人の望みの喜びを

こちらもよく耳にする有名曲。バッハのカンタータ第147番「心と口と行いと生活で」
のなかに登場するコラール(賛美歌)だ。原曲では合唱によってイエスへの愛が歌われる。


◎ヴィヴァルディ:四季より冬 第2楽章

バッハよりもほんの少し前に生まれて、イタリアのヴェネツィアで活躍したのが、
アントニオ・ヴィヴァルディ(1678~1741)である。代表作はなんといっても
協奏曲集「四季」。春夏秋冬を題材としたそれぞれのソネット(十四行詩)を
もとに音楽が書かれている。この「冬」の第2楽章で描かれるのは、暖炉の前で
過ごす満ち足りたひととき。



♪古典派

バロック音楽に続いて栄えたのが古典派の音楽。古典派、つまり英語でいえば
クラシック。クラシック音楽のなかでもいちばんクラシックらしいのがこの時代
といえるだろうか。代表的な作曲家はモーツァルト、ハイドン、ベートーヴェン。
18世紀半ばから19世紀初頭のウィーンで活躍したこれらの作曲家は、
とりわけ交響曲や協奏曲、弦楽四重奏曲、ソナタといった分野を発展させて、
多数の傑作を残した。


◎ハイドン:チェロ協奏曲第2番より第3楽章

古典派の礎を築いたといえるのがヨーゼフ・ハイドン(1737~1806)。交響曲と
弦楽四重奏曲の発展に大きく寄与した作曲家で、モーツァルトやベートーヴェン
に強い影響を与えた。協奏曲の分野では2曲のチェロ協奏曲がよく演奏される。
モーツァルトもベートーヴェンもチェロ協奏曲を書いていないので、チェロ奏者
にとっては貴重な古典派協奏曲のレパートリーだ。ハイドンが楽長を務めていた
エステルハージ家の宮廷楽団で活躍したチェロ奏者アントン・クラフトのために
書かれ、鮮やかな技巧を駆使しながら生気にあふれた音楽をくりひろげる。


◎モーツァルト:きらきら星変奏曲

ザルツブルクに生まれ、ウィーンで時代の寵児としてもてはやされたのが、
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756~1791)。当時、モーツァルト
はピアノ奏者として自作自演や即興演奏によって、評判を呼んでいた。既存の
メロディを自在に変奏するのもモーツァルトの得意技。この「きらきら星変奏曲」
では、そんなモーツァルトの変奏の達人ぶりが発揮されている。もととなった
メロディは「きらきら星」の名で親しまれているが、モーツァルトの時代には
恋の歌「ああ、お母さん、あなたに申しましょう」として知られる流行歌だった。
だれもが知る素朴なメロディから、多彩な表情を持った12の変奏が生み出される。


◎ベートーヴェン:歓喜の歌

古典派音楽を完成の域にまで到達させ、さらに続く時代に巨大な影響を与えたのが、
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770~1827)だ。9つの交響曲は音楽史
に輝く金字塔である。ベートーヴェンが最後に書いた交響曲第9番は、日本では暮
れの風物詩として定着している。第4楽章で登場する通称「歓喜の歌」は、シラー
の詩に曲をつけたもので、博愛の精神が讃えられる。


前編はここまで。次回は、後編「ロマン派」「20世紀の音楽」もお楽しみに!


◆コンサート詳細は、こちら。〔チケット発売中〕


メイプル&グリーン〔You Tube〕 自分をつくる学校2017

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参加者の声

プロフィール

maple[1]
Author:メイプル&グリーン
【お問い合わせ先】

(公財)箕面市メイプル文化財団
(箕面市立メイプルホール内)
9:00~17:00(月曜休館、ただし休日の場合は開館。)
TEL:072-721-2123

(グリーンホール(箕面市立市民会館)内)
9:00~17:00(第3水曜休館、ただし休日の場合は翌平日休館。)
TEL:072-723-2525

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